投資物件カルテ

第3号物件(新宿区、ワンルームマンション)

投稿日:2017-03-20 更新日:

投資物件サマリー

主要な経営指標

物件概要

新宿区、ワンルーム

物件価格(総投資金額)

550万(598万)

物件価格に対する表面利回り(実質利回り)

13.1%(9.81%)

回収金額(回収率)※2016年12月時点

229万円(38.4%)

損益分岐点売却額(投資が黒字化する売却額)※2016年12月時点

368万円

※総投資金額:物件価格に仲介手数料・登記費用・不動産取得税等の取得時費用を加えた金額

※実質利回り:家賃から管理費と固定資産税を控除した利回り

※回収金額:家賃・礼金・敷金から管理費・固定資産税・修繕費を控除した回収金額の総額

※回収率:相投資金額に対する回収金額の割合

※損益分岐点売却額:総投資金額から回収金額を控除した、黒字化する売却金額

物件の所在地

本物件のおおまかな所在地です。

回収金額と回収率の推移

第3号物件の回収金額と総投資金額に対する回収率は以下の通りになります。投資金額の約40%まで回収できましたので、投資金額の60%強で売却できれば、第3号物件への投資は黒字になります。

第3号物件の回収金額と回収率の推移

2015年に回収金額が落ち込んでいるのは、孤独死の原状回復費用がかさんだことが要因です。本物件は第2号物件と同様に、購入金額を上回る金額での買取依頼を多く受けているため、黒字の可能性が高いとみています。

第3号物件の歴史

物件購入

本物件も第2号部物件同様に、任意売却物件でした(任意売却物件の特徴に関しては、第2号物件の物件カルテを参照下さい)。

第2号物件の物件カルテにも記載していますが、任意売却物件は指値交渉が容易なため、売却希望額600万円のところを550万円購入することができ、お得な買い物でした。

出口戦略より入口戦略が重要

新宿区で築20年前後の物件を550万円で購入できれば、買った時点で投資の黒字化は確定したようなものです。相場より相当低い金額で購入できているので、

  • 家賃回収を考慮せずに売却したとしてもキャピタルゲインが発生します
  • 家賃回収を考慮した場合、投資元本を回収できた10年後に購入金額と同額の550万円で購入できると、10年後に投資金額が2倍になります

不動産投資本で、「出口戦略(如何に不動産を高く売却して、投資資金を回収するか)が重要」だとか、「出口戦略を見据えた不動産投資術」なんて言われていますが、出口戦略より入口戦略の方が重要だと私は考えています。

入口戦略と言うほどではありませんが、物件の購入価格がその後の投資の成否を大きく左右します。

  1. 例えば、大幅に易い価格で購入できた物件は、購入時点で黒字が確定します。(例:掘り出し物の中古物件)
  2. 一方で、大幅に高い価格で購入した物件は、購入時点で赤字が確定(黒字化するのが困難)します。(例:新築ワンルームマンション)

極論すると、今回の様にいつ売却しても黒字が確定している物件であれば、出口戦略なんて意識する必要なんてありません

東京オリンピックなど不動産市況の値上がりを期待した安易な出口戦略は、将来の不確実性に賭けているのと同じなため、株式投資と同じです。そうであれば、取引コストが断然に安い株式投資をおススメします。

本件からの学び、

  • 出口戦略を意識する前に、入口戦略を重視し、投資の黒字化確率が高くなる価格で購入すること
  • 入口戦略がしっかりしていれば、出口戦略なんて意識する必要はない




入居者の孤独死(初体験)

本物件は高齢の入居者に住んで頂いておりました。2015年の2月頃から連絡が取れなったため、不動産屋立ち合いのもと警察に侵入してもらった結果、ゴミ屋敷の中で入居者がお亡くなりなっていました。

ゴミの上で亡くなっていたことや、寒い時期に亡くなったため腐敗が進まなかったこともあり、第1号物件の様に、床に体液等が染み込むことはありませんでした。

本物件は初めての事故物件対応で手探りの中、以下の手順で対応を進めました(2度目の孤独死事件でも同様の手順を実施)。

  1. 入居者の残留物の撤去、親族等への連絡
  2. 現地確認と、市販の消臭剤を大量に散布(効果は不明)、バルサンで害虫駆除
  3. リフォームの実施(酷い場合はリフォーム前に特殊清掃も実施)
  4. 故障している家電等の改修、入居者募集

孤独死物件再生のポイント

入居者の残置物の撤去

入居者発見後に運び出された後の対応は、基本的には大家が全てしなけらばなりません。そこで、まず始めに問題になるのが、入居者の残置物の撤去です。私の場合には、家賃保証会社の保証契約の範囲に残置物の撤去費用も含まれていたため、自分では何もする必要がありませんでした。実際には、単純に費用の負担だけではなく、遺品回収業者の手配も含めて保証会社が行ってくれました。

仮に、保証会社の保証範囲に残置物の撤去費用が含まれていなければ、遺品回収業者に依頼するか、自分でやる必要があったため、保証会社に加入していて助かりました。保証会社による残置物の撤去は、家賃保証以上に利用価値が高く、孤独死対応で2回・入居者が留置所に拘束された際に1回利用しており、自分で対応することはありませんでした。

ちなみにですが、保証会社によって残置物撤去費用の負担に差があるかと思い調べてみましたが、主だった保証会社である全保連・日本賃貸保証・日本セーフティー・Casa・リクルートフォレントインシュア等は全て保証範囲に含まれていました

本件からの学び、

  • 残置物の撤去リスクを回避するためにも、家賃保証会社の加入は必須である
  • 念のため、保証範囲に、残置物撤去費用の負担が含まれるかを確認すること

孤独死物件の原状回復

孤独死物件の原状回復ですが、初めての方は混乱するかもしれません。実際に私もそうでした。特殊清掃会社のホームページを参照すると、体液・汚物除去の特殊清掃や、高濃度オゾン脱臭装置を用いた脱臭・消毒・除菌、害虫駆除等の必要性が謳われていますが、私の経験上では必ずしも必要とは思いません。

仮に、体液や汚物がクッションフロアに染みていたとしても、クッションフロアを張り替えれば問題ないため、体液や汚物除去の特殊清掃は必須ではないと考えています。また、高濃度オゾン脱臭装置を用いた脱臭もどこまで効果があるのかは分かりません。害虫駆除に関しては、毎回自分でバルサンを購入して対応しています。

実際に、第3号物件では特殊清掃を行わずに、通常のリフォーム同様にクロスとクッションフロアの張り替えにより、原状回復を行いました第1号物件の場合には、通常のリフォーム業者からは事故物件の対応は不可能とのことで、体液や汚物除去の特殊清掃後にクッションフロアを交換しました(脱臭・消毒等の対応はなし)。

特殊清掃は行わずに通常のリフォームの対応で済ませたのですが、水道管の詰まりや、家電等の室内設備の交換等の出費が想定外でした。結局は、合計で369,114円の金額がかかり、内訳は以下の通りです。

  • クロス、クッションフロア張替、ハウスクリーニング:161,400円
  • 玄関の電気交換:34,374円
  • 水道管の詰まり解消:16,200円
  • IHヒーター、エアコン、備え付け冷蔵庫の交換:157,140円

本件からの学び、

  • 孤独死物件の再生においても、体液や汚物処理の特殊清掃や、高濃度オゾン脱臭は必ずしも必要ではない
  • 害虫駆除は、バルサンを買って自分で行ない、コスト削減すべし

管理・修繕積立金の増額

本物件は、所有物件の中でも管理・修繕積立金が高く12,740円でした。基本的には、管理・修繕積立金総額が8,000円程度が購入の目安としていましたが、物件の管理状態が良かったため購入に踏み切りました。所有した5年度(築21年後以降)は約2,000円増額され約15,000円になりました。

本物件は60,000円で賃貸できているのですが、手取り収入は月額約45,000円になってしまいます。同じ家賃で管理・修繕積立金が8,000円の物件と比較すると、

  • 年間で84,000円
  • 5年間で420,000円
  • 10年間で840,000円

も手取り収入が異なることになります。ポイントは、家賃の増加は工夫によりカバーできるかもしれませんが、管理・修繕費は固定的な費用で、コントロール不能である点です。仮に、投資期間を10年と考えた場合には、管理・修繕積立金が8,000円の物件よりも84万円は安く購入することを意識しなければなりません。

本件からの学び、

  • 管理・修繕積立金はアンコトローラブルな費用なため、管理・修繕積立金を考慮した上で、物件購入の意思決定をすべき
  • また、管理・修繕積立金は、将来増加する前提で収支をシミュレーションする必要がある

 

レクタングル大

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