ここでは、LevelⅠの試験概要と学習のポイントを説明します。
LevelⅠの試験概要
英語が苦手でも戦えるが、スピード勝負
試験は午前と午後に3時間ずつ行われ、3つの選択肢から正解を選ぶマークシート式の問題が120題出題されます。
択一問題のため、英語に自信が無い方でも「読み書き」の「読み」が出来れば合格が狙えます。しかし、3時間で120題を解きますので、1問1分30秒(90秒)で解く必要があり、素早く問題を読み解いていくスピード感が求められます。
範囲は広範、「広く浅く」、そして「確実に」押さえる
次に試験範囲についてです。CFA協会によると、各Levelにおける出題科目と配点割合は以下の通りとなります。
科目 |
Level1 |
Level2 |
Level3 |
|
---|---|---|---|---|
Ethical and Professional Standards | 職業倫理 |
15 |
10-15 |
10-15 |
Quantitative Methods | 計量分析 |
12 |
5-10 |
0 |
Economics | 経済 |
10 |
5-10 |
5-15 |
Financial Reporting and Analysis | 財務諸表分析 |
20 |
15-20 |
0 |
Corporate Finance | コーポレートファイナンス |
7 |
5-15 |
0 |
Equity Investments | 株式 |
10 |
15-25 |
5-15 |
Fixed Income | 債券 |
10 |
10-20 |
10-20 |
Derivatives | デリバティブ |
5 |
5-15 |
5-15 |
Alternative Investments | オルタナティブ投資 |
4 |
5-10 |
5-15 |
Portfolio Management and Wealth Planning | ポートフォリオマネジメント |
7 |
5-10 |
40-55 |
合計 |
100 |
100 |
100 |
出題科目は10科目と多めですが、LevelⅠは基礎的な事項が中心となります。各科目を「広く浅く」押さえておくことがポイントです。
また、「確実に」理解して押さえていくことも重要です。
というのは、証券アナリスト等の日本の試験では、問われる項目に対して、キーワードを覚えていれば解ける問題(What?)が多いのに対して、CFAの試験では理解を問われる問題(So What?)が多いと感じるからです。
例えば、在庫の評価方法を問う場合、日本では、FIFO=先入先出法(古いものから先に売る)、LIFO=後入先出法(新しいものから先に売る)と覚えておけば解ける問題が多いのに対して、CFAでは、インフレ状況下で売上原価が高くなるのはFIFOとLIFOのどちらかを答えるような問題が出題されるようなイメージです。
そのため、ただ暗記に頼るだけでなく、理解の部分も非常に重要だと感じました。
Level Ⅰの学習ポイント
得点源にしたい4科目
LevelⅠは10科目全てを「広く浅く」学習していく必要がありますが、中でも得点源にしたい科目は以下4科目です。
- Ethical and Professional Standards
- Financial Reporting and Analysis
- Equity Investments・Fixed Income
1.Ethical and Professional Standards
配点比率が15%と高い割に、ある程度常識的な感覚で解ける問題が多いので、他の科目と比べて少ない学習時間で高得点が狙えます。試験ではこの科目が最も英語文量が多いのですが、職業倫理に照らして状況や行動の是非を答えるという性質上、出題ケースも限られてきますので、問題演習を繰り返すことで処理スピードも向上します。
2.Financial Reporting and Analysis
配点比率が20%と最も高い科目です。社会人の方は、簿記3級等の資格取得または実務を通じて、日本の会計知識がある方が多いと思います。その知識を土台として、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(USGAAP)での会計処理を覚えていくことで、スムーズに学習を進められる科目です。
3.Equity Investments・Fixed Income
この2科目は証券分析の基本、かつLevelⅡ、Ⅲでも高配点で出題されるため、LevelⅠの段階でぜひとも得点源にしたい科目です。他科目と比べて暗記項目が少ないのも特徴で、株式や債券の仕組み、評価方法を理解することで得点が稼げる科目です。